(二)この世界ごと愛したい




窓から飛び立った私の姿を、広場から発見したアキトと隊士達。




「リン…!?」


「あーあ。リンちゃん出て行っちゃったー。」


「サクてめえ縁起でもねえこと言うな。」


「隊長の不手際でしょ。」




アキトは押し寄せる後悔に眉を顰める。



私がいない…つまり私のご褒美がないと分かり、隊士達も稽古する気力が折れてしまい。


今はみんなで集まっているだけの状態。





「アキトさん。」


「あ、ハナちゃん!」


「サクくんちょっと退いてて。」


「あ、はい。」




ハナちゃんはアキトを責める。




「私言いましたよね。リンちゃん傷付けないでって。」


「…リンは?」


「反省はしてそうですね?」


「そりゃあ…なあ。」




もう姿も見えなくなった空を見上げるアキト。


その姿は私がここに来る前に、約束の時を迎える前と同じ光景で。



ハナちゃんは察した。





「リンちゃん、お夕飯までには戻るそうです。」


「…そうか。」


「今は幸いトキさんいませんから。」


「あ?」




ハナちゃんは沸々と再度怒りの色を露わにする。





「またここで待つだけですか!?リンちゃんが城に来る前もそうして待ってましたよね!?」


「は…?」


「早く追いかけて謝って来てください!リンちゃんを一人にしないでくださいっ!!!」


「……。」




アキトは、また空を見上げて。


大きく息を吐く。





「…俺が行ったらまた逃げられるかもなあ。」


「隊長またヘタレ出てます。」


「…サク、俺隊長な?」


「俺も付き添いましょうか?」




私に逃げられるのを恐れて、本当はサクに一緒に来てほしいと思っているアキトだけれども。


サクもそれに気付いているけれども。





「…いや、馬だけ頼む。」




こうしてサクが馬を準備して。


アキトは私を追いかけて城を出る。








「ねえ、サクくん。」


「ハナちゃんどうしたの?」


「アキトさんって、リンちゃんのことすごく大事にしてるんだね。」


「…そうだね。相手がリンちゃんだから慎重になるのは分かるけど、ヘタレすぎてちょっと笑えるよね。」




サクとハナちゃんは和やかにそんな会話を交わしつつ、アキトを見送った。




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