(二)この世界ごと愛したい



シオン将軍は未だ飲み続けている。


私とアキトの恋愛沙汰に興味もなさそう。



そして女性が苦手だと聞いてしまった以上、私からもう何かすることは出来ない。




「……。」


「……。」




トキ早く帰って来てー!!!




「…あの。」


「え?」


「酒、トキがもう止めてませんでした?」




再び飲み始めた私を指摘するシオン将軍。



…この状態で飲まずに何しろと?





「後で謝るよー。」


「謝って済むかは知りませんけど。」


「大丈夫大丈夫ー。」


「…はぁ。」




静かに飲み進める。


一向にトキは戻ってこない。



必然的にお酒の瓶が空いていく。





「…もう飲むの止めません?」


「うんー。」


「また俺がトキにうるさく言われるんで。」


「うんー。」




飲み過ぎたー。


身体は熱いし。もうふわふわで力も入りません。




「話聞いてます?」


「んっ…。」



お酒が入ったグラスに再び手を伸ばした私。


その手をシオン将軍が抑える。



シオン将軍の手は私の体温より低いので、その冷たさに思わず声が漏れる。





「…どうすんだコレ。」


「手、じゃまー。」


「今止めても手遅れだったか。とりあえずトキ…。」




トキを呼び戻そうと考えたシオン将軍は、立ち上がろうとして思い留まる。


まだ広間には数人の隊士がいて、それぞれ楽しく飲んでいる。



自分が離れれば私が一人になる。





「…最悪だ。」




ポツリと愚痴を漏らしたシオン将軍。


それに気付いて、私は覚束ない足で立ち上がる。




「どこへ?」


「…どこだろ?」


「行く宛もないなら動かないでください。」




私を座らせようとシオン将軍の手が伸びる。


私はその手が触れないよう身を引く。





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