(二)この世界ごと愛したい




「…うん。一通り…覚えたかな。」




伏し目がちだった目を開く。


インプットは申し分ない。



そして、ここを出た後の目的地もはっきり決めた。





「リン終わったー?」


「うん!…って二人ずるい!私もお菓子食べたい!」


「シオンが仲直りの賄賂くれた。」


「すごい!良いお兄ちゃんに成長してるー!」




私とトキが笑うと、シオンが機嫌悪そうにまた睨むけど。


どこか可愛く見えるのはたぶん、少しずつシオンとの距離が縮まった証拠なんだろう。





「トキ私にも一個ちょーだい!」


「いいよ。」




一口サイズのお菓子を一つ。


おねだりしてみたらいいよと言ってくれたのに、トキが持ったまま私の手には置いてくれない。



首を傾げるとトキはまた笑う。




「口開けて?」


「へっ!?」




どうやら食べさせてくれようとしたらしい。


トキの意地悪そうな顔を見ると素直に口を開けられない。




「じ、自分で食べる。」


「俺リンに食べさせてあげたい。」


「〜っな、なんでそうなるの!」


「可愛いから?」




トキの方が可愛いよ!!!




「いらない?」


「…いる。」




でもやっぱり食べたい私は大人しく口を開ける。


トキがお菓子をくれると、甘い味をようやく味わえて自然と笑えてしまう。




「…んま。」


「…なんか背徳感。」


「え?」


「リンを愛ですぎると俺まで怪我しそう。」




うん。


怪我は良くないね。





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