(二)この世界ごと愛したい



今までは亡命亡命と。


そんな風に言ってたくせに。



ここに来てエゼルタで私を嫁にもらう発言に変わったシオン。





「…飛んでくれません?」


「えっ、あ…はい。」




呆然としているハルにごめんと心の中で謝って。


先を急ぐ私は、この何とも言えない感情を払拭するように舞い上がる。





「……。」


「……。」




また雲の中にすぐ隠れ込んで。


頭の中に入れたエゼルタ王都の方向へ進んでいるつもりの私。



合ってる。合ってるはずだ。


集中。絶対集中しなきゃいけない。





「…あの。」


「……。」


「めちゃくちゃ揺れるんですけど。」


「黙っててくれるかな!?」




私だってこの高度で、雲の中で安定させるの難しいなりに頑張ってるんですよ!?




「…嫁ぐの嫌でした?」


「その話は…今無理っ!!!」




案の定ぐらりと体勢が崩れる。





「っ…ご、ごめん。」


「…抱き方変えて良いですか。」




すぐに何とか持ち直した。


現状、俵担ぎのように私を肩の上に抱えているシオン。私の目の前はシオンの背中。





「無理無理まだそのままで。今変えられたら真っ逆さまになる。」


「危なっかしい鳥だな。」


「…誰が鳥だ。」




鳥で言えば、クロはちゃんと場所を覚えられただろうか。





「…貴女の鷹、ちゃんと城記憶してますよ。」


「本当!?」


「ついてに俺も自分の鷹に覚えさせました。開戦前に異変があればハルに知らせておきます。」


「あ、ありがと。」





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