(二)この世界ごと愛したい



私は地面を蹴ってふわりと舞い上がる。


もちろん炎は使ってません。持ち前の身軽さです。





「…せめて、一矢報いるか。」



マサムネさんが何か呟き、懐に手を忍ばせる。





「っ!!!」



私は最後に上からの攻撃を仕掛けようと思ったんだけども。


距離を取ってしまったのが誤断。




懐から手裏剣と思われる鉄が下から私に襲いくる。それは早いし、そしてこの暗さではっきり捉えられない。






「痛いー…。」


「拙者の方が重症だ。」




全てを躱すのは諦め、手裏剣が刺さりながらも私は攻撃に転じることを優先した。


結果、私の剣がマサムネさんに入った。





「大丈夫ー?」


「…敢えて浅くしたんだろう。それに手裏剣も火遁で防げたはずを。」


「最初に炎は使わないって言ったし。」


「浪人のリンが助力すると、さっき聞いたが。」




私の勝利…とは言い難いけど。


とりあえず傷を負ったマサムネさんはもう戦意はないようで。私も剣を収める。





「うん。こんな馬鹿げた力を持った以上、均衡は守るよ。」


「…立派な志だ。」


「だからもし困ったことがあって、次に私を見かけたら言ってね。今日付き合ってもらった借りもあるし。多少融通するよ。」








「アレンデールへの攻撃でもか?」





マサムネさんの目が、鋭く光る。





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