(二)この世界ごと愛したい
アキトの城へ。
行軍は吸い込まれるように入城する。
私は未だ、トキに寄りかかって眠ったまま。
そんな私を乗せた荷馬車もめでたく城への帰還を果たしました。
「…何してんだトキ。」
「リン疲れて寝ちゃって?起こすの可哀想だからそのままにしてただけだよ?」
私を発見するや否や、アキトが飛んで来た。
「へえ。」
「あー俺も疲れた。とりあえず報告は明日でいいよね。みんなさっさと休ませよう。」
そして目敏いアキトがすぐに私の傷に気付く。
トキの読み通り、その傷を見つけたアキトの顔は険しくなる。
「お前が付いてて何してんだ。」
「…止めようと思えば止められたけど、思いの外リンが楽しそうでさ。」
「言い訳すんな。」
「あーはいはい。」
そう言ってトキが眠ったままの私をまた抱き上げて、荷馬車から降ろしてくれる。
まだまだ険悪そうなアキトに、そのまま私を差し出すトキ。
「どーぞ?」
「あ?」
「アキトの機嫌の取り方、俺が一番知ってるからね。」
「…けっ。」
なんだかんだ、素直にトキから私を受け取ったアキト。
トキはまた楽しそうに笑うだけ。
アキトは私を大事に抱えたまま、自分の部屋へと歩みを進める。
そして部屋の寝台に私を寝かせて、アキトもまたその隣に横になる。
「…本当に全戦終わらせて来やがって。」
私の頭をその腕に乗せて。
「これでやっと、明日から遊べるなあ。」
嬉しそうに呟いて。
二人仲良く眠りにつきました。