(二)この世界ごと愛したい
再びエゼルタへ
アレンデールにて。
クロが私の手紙を無事に運んでくれた時。
「ピー。」
「あ?何だこの鳥?」
アレンデール城で、仕事に追われているハルの元へちゃんと行き着いたクロ。
優秀すぎて言葉も出ません。
「…ん?手紙…リンの匂いだ。」
驚くべきその嗅覚で、すぐに私からの鷹だと気付き手紙を手に取ったハル。
それを近くで見ていたるうが声を掛ける。
「ハル、どうした?」
「リンから。」
「あー、クロがどうとかってこの鳥のことか。」
「……。」
「何て書いてんだ?」
手紙を読むハルがとても暗い表情なので、心配になるるう。
「…短え!!!」
「…内容を聞いてんだよ。」
淡泊な手紙が気に入らなかっただけらしい。
「戦、天気は心配いらねえって。終わったら裏山で待ってるって。」
「充分じゃねえか。」
「もっとあるだろ!?元気かどうかとか会いたいとかあるだろ!?」
「…相手リンだぞ。」
読みながら項垂れるハルをるうが宥める。
クロは白い翼を再び羽ばたかせ、アレンデールからパルテノンに向けて飛び立つ。
「あ、これもしかして返事書いたら届けてもらえたのか?」
「もう遅えよ。飛んでったぞ。」
「待てコラ鳥ー!戻って来い!!!」
ハルの叫びも顧みず、クロは遥か彼方へ。
諦めたハルはまた手紙を見て、少しだけ口角を上げる。
「…桜の日、か。」
私の誕生日。
アレンデールの冬は割と早く終わることが多いので、桜が咲く時期が他国より少し早いらしい。
「勝つのは当然。不戦期間にはいつも通り戻って来ねえとな。」
「じゃあ俺の出る幕はねえな。」
「当たり前だ。元からこっちはそのつもりなんだよ。」
「だろうな。俺まで出払ったらいよいよリンが無謀な守備し兼ねねえし。」