(二)この世界ごと愛したい
クロがパルテノンに戻り。
次に手紙を届けたエゼルタにて。
シオンの屋敷に舞い込んだ白鷹を、物珍し気に思い腕に呼び寄せた男が居た。
「へえ、白鷹だ。」
足に伝書が付いていることにすぐ気付き、それを抜き取り勝手に中を読む。
私の配慮が功を奏し、中には街の名前と日にちが書いてあるだけ。
「…誰宛かも誰からかも分からないな。」
困ったその男性。
とりあえず白鷹を再び空へ放とうと思ったその時、男性はクロと手紙をサッと素早く奪われる。
「俺の。」
「あれ?シオン宛だった?」
「……。」
「白鷹も珍しいけど、シオンが部屋から出てくるのも珍しいね。」
その男性をフル無視して自室へ戻ろうとするシオン。
恐らく、クロが飛んで来るが部屋から見えて出て来てくれたんだろう。
「…宛名も差出人の名前もなかったよ。誰からか気になるんだけどなー。」
「……。」
「綺麗な字だよね。女の子みたい。」
「……。」
「シオンに限って女の子からの手紙何て有り得ないかー。」
「……。」
返事も返って来ないのに、立ち去ろうと歩き続けるシオンの背中に話し続けるその男性。
側から見れば可哀想な振る舞いだけども。
「白鷹って縁起物だよね。シオンにも良い縁があったのかな。」
「…あのさ。」
「シオンが話してくれた!これも白鷹のおかげかな!」
嫌そうに、迷惑そうに振り返ったシオン。
それだけのことに嬉しそうにニコニコと笑顔を向ける男性。
「…少し黙れ。」
「あ、はい。ごめん。」
「……。」
「軍事会議でのこと怒ってる?でもあれはシオンが悪いよ?」
どうやら軍事会議に参加していたらしい男性は、その時のことでシオンが腹を立てていると思っているらしい。
「あれだけの軍で他国にも迷惑掛けておいて。それだけの力だし、魔女を追うのは当然じゃない。」
「…誰が追ったって無駄。あれに敵うわけない。」
「だから自分に一任しろだ何て勝手すぎるって。あの魔女は必ず捕獲してエゼルタの軍事に役立てなきゃ。人質にすればアレンデールを落とすことも出来るかもしれない。」
「…そんな簡単な話じゃない。」