(二)この世界ごと愛したい




「…ご、ごきげんよう…?」


「久しぶり。」


「あー…はい。」



隣にいるシオンに、絶対ここを離れないでくれと念を送る。


伝わってるかは疑問だが。




「リン。」


「謝ります。悪いと思ってます。」


「…ねえ、リン。」



そう言えばレンって。


場所もタイミングも弁えず、爆弾を落としていくような人だと言うことを忘れていた。





「…やっと会えたね。」



シオンもまさかと思っただろう。


だけど私が一番思ってる。



この状況で。仮にも病人である私に、キスなんてする医術師は世界で一人。




…私の主治医だけだ。





「れっ…!?」


「ん?」


「あ、頭痛い!!!」


「薬持って来たよ。」



誰のせいだと思ってるの!?!?


急に頭にまでぶわっと熱が昇った私は、もう力も入らないほどで。空気が抜けるようにまた布団に横たわる。




「エゼルタ寒いし寒暖差に身体が追いついてないから、リンは少し大人しくしててね。」



じゃあ大人しくさせてくれよ。




「うー…しんどいー。」


「…これ斬って良いんですか。」


「シオンにしては反応遅かったね。もうしんどいからお願い何もしないで何も言わないで。」


「…ったく。」



シオンがゴシゴシと私の唇を拭く。


レンに不意打ちのキスをされたことを、私よりも邪険に思ったシオンが悪態をつく。




「そう言えばリンの連れの人って、この国の人?」


「うん。」


「出会ったばかりって感じじゃないね?」


「トキのお兄さんだよ。」


「あ、将軍のお兄さんか。昔トキにチラッと聞いたことあるよ。凄く強くて自慢のお兄さんだって。」



うわー。


昔ってどれくらい前か知らないけど何そのエピソード。トキ可愛すぎるんですけどー。



でもレンさん、トキは絶対それシオンに話してほしくなかったと思うよー。




「…嬉しい?」


「普通。」


「シオンはほんと捻くれてるね。私はそんなトキが可愛くて今すぐ会いたくなったよ。」


「怒られるのに?」


「…会うのは落ち着いてからがいいかな。」



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