(二)この世界ごと愛したい
「レンには会ったきたか?」
「会ってない。」
「は?」
ちゃんとアレンデールから真っ直ぐここに来ましたとも。
「え、私に用ありそうな感じだった?」
「…それは知らねえけど。じゃあお前直接ここに来たのか?」
「そうだけど。」
「…なんで?」
なんで…とは。
約束したじゃん!?忘れてる!?
「最速で来いってアキトが言ったんでしょ!?」
「…てっきり先にレンに会うもんだと思ってた。」
「レンと会う約束してないし。」
レンのことを相変わらず気にしているアキト。
遊び倒すと約束したのを楽しみにしてたのは私だけかと、少し切なくなってみたりします。
けど、それも仕方ない。
はっきり日時を指定出来なかったし。アキトが傷を負うほどに戦わせてしまった責任は私にもある。
「トキは?」
「王宮で馬鹿共に捕まってる。」
「やっぱりそうかー。」
セザール軍部もさぞかし大変だろう。
アキトは特に私と遊ぶのは後回しでも問題ないようだし。
というか、実際そんな時間もなさそうだ。
「なあ、リン。」
「んー?」
「俺は少し自惚れてる。」
「はい?」
アキトは、少し嬉しそうに見える。
「お前が真っ先に飛んで来たのが、俺のとこで嬉しいと思ってしまった。」
「…だって約束したし。早く来ないとアレンデールまで来るって脅されたし。」
「それでもいい。お前が無事で、こうしてまた会えた。」
お、大袈裟すぎる。
セザール出てからそんなに経ってないよ?
それなのに満足そうに笑うアキトを見ていたら、私もなんだか笑えてきて。
「アキト、なんか可愛くなったね?」
「ああ?」
「…それにしても疲れたー。」
「そういやお前どうやってここまで登ってきたんだあ?」