(二)この世界ごと愛したい



思い浮かぶのは粒揃いの将軍の顔ぶれ。


考えるだけで頭は痛いが、それでも叶えてみたいんだもん。





「…分かった。」


「ハル優しい!ありがとうっ!」


「だが忘れんなよ。お前が傷付く可能性があるなら俺は大いに口も手も出すからな。」


「その時は内緒にするから大丈夫っ!」


「すんな!?報告しろ!?俺は王代理で総司令だぞ!?」



え、こんな時だけ?


そんな都合の良い役職を口に出すの?




「じゃあお忙しいね。こんなとこで油売る暇ないね。今もハルの代わりにみんな頑張ってるんだもんね。」


「…あ、けど…俺は暇なタイプだ。」


「タイプとかないから。ハルのこと嫌いになりたくないから。分かるよね?」


「……帰り、ます。」



お分かりいただけて良かったです。


トボトボと店の外へ出て行ったハルを、私は外で捕まえる。





「ハルっ!」


「っ…。」


「離れる前の充電っ!」


「か、可愛過ぎか馬鹿!!!」



後ろからぎゅっと抱きしめる私を可愛いと言うが。


この充電方法はるうに教えてもらったので、可愛いのはるうじゃないのか。




「るうと、ママとアルにもよろしくね。」


「…ああ。」


「大好きだから、一緒に頑張ろうね。」


「もう無理。」



ぐるっと身体を反転したハルが、今度は正面から私を抱き締める。




「く、苦しっ…ハルっ!」


「可愛い可愛い可愛い。俺のリンが可愛すぎる。」


「そればっかり…!」


「心配すんな。来世では飽きるほど教えてやるつもりだ。」



今は聞けない、好きの言葉は。


来世までのお楽しみ。




「えっ、嬉しい。楽しみ。」


「…あーまたお前は…。何でそんなに可愛いんだ。可愛いの化身か。」


「うん、じゃあまたね。」


「急にあっさり引くな!?」




< 954 / 1,120 >

この作品をシェア

pagetop