殺したいほど憎いのに、好きになりそう

察しの悪い男


「ほら、早く体操服を上げて見せろ? 俺は何とも思っていないから、ただの仕事だ」

 そう言って短足先生は、手をくいくいと動かせている。
 俺の胸なんて大したことないと言いたげだな。
 しかし、ここで勢い良く脱ぐのもどうかと思う。一応、今は女子中学生という立場だし。
 
 仕方ないので体操服の胸元だけを引っ張り、先生にだけ見えるように工夫してみたが……。

「水巻、お前は何をしているんだ!? そんなんじゃお前の下着の色が見えないだろ! もったいぶらないでさっさと脱げ! 1年生のくせして!」

 いちいち、ムカつく教師だな……。
 俺の周りに立っている女子たちは何も言わないが、短足先生の顔を睨んでいた。
 仕方ないので、一気に脱いでやるか。元男として。

 ブラジャーの色を確認するため、先生が見えるように下から体操服をめくるだけで良いのだが。
 頭に来た俺は敢えて体操服を全て脱いで、先生に藍ちゃんのセクシーバストを見せつけてやった。
 すると短足先生は口を大きく開いて、驚きのあまりたじろいでしまう。

「な、なんだお前の胸! デカすぎだろ! 本当に中学1年生か!? うちの嫁より大きいな……」

 フフン、どうだ? 藍ちゃんのバストはHカップだからな。
 
 短足先生はしばらくその場で固まっていたが、周りにいた他の教師の視線もあるので落ち着きを取り戻す。
 そして、俺のつけているブラジャーの色に気がつき、お説教が始まる。

「水巻! お前、色付きのブラジャーじゃないか! しかも刺繍も入ってるやつだろ? うちの嫁でも持ってないぞ」

 お前の嫁とか興味ないわ……。

「なにをボケっとした顔で俺を見ている? さっさと脱げ!」
「え? 脱ぐ?」

 いきなり脱げと言われて、俺はビックリして固まってしまう。
 抜き打ち検査だから確かに注意はされるんだろうけど、その場で脱ぐなんて思っていなかったから。

「当たり前だろ!? 早く脱いでこの道具箱に入れろ! 指定した下着をつけてくるまで学校側で保管しておく」
「えぇ……ウソでしょ? 保管して何に使うんですか?」
「知るか! そういうルールなんだから、守らないお前が悪い!」
「……」

 マジで脱ぐのか。
 
  ※

 元男でもさすがにこの場で、乳首を晒すわけにはいかないと思った。
 だからもう一度、体操服を着てブラジャーのホックを外し、肩ひもを外してからブラジャーを取り出す。
 脱ぎたてホカホカのブラジャーを道具箱に入れるという羞恥プレイを味わうと……短足先生に厳しく注意される。

「いいか!? こんな色付きでハレンチな下着は今後つけてくるな! 後日、学校が指定している下着をつけ直して担任の教師へ確認してもらうように!」
「は、はい……」

 ノーブラの状態がこんなに恥ずかしいものだと思わなかった。あのブラジャーは藍ちゃんというバストをしっかり守ってくれていたんだ……。
 ブラジャーがないから、胸元を手で隠さないと乳首が見えてしまう。だからずっと両手で胸元を抑えている。
 しかし、屈辱はこれだけで終わらなかった。

「お前、ブラジャーがこんな派手な物なんだから、下も同じ色で揃えているんじゃないのか?」
「え?」
「うちの嫁も必ず上下お揃いにしている。なら、お前もそうするだろ?」

 なんか童貞みたいな考えを持った教師がここにいるのだが……。
 確かに前世の俺なら、同じ思想を抱いていただろう。
 しかし、今は女の子の日でサニタリーショーツを履いている。この状態を男の先生に見せるのは、絶対に良くないことだ。
 
「あ、あの……私。下はそんな派手じゃありません。今日はかなり地味な色です」

 自分で言っておきながら、かなりおかしいな言い訳だと思う。
 教師と話す会話なのか、これは……。
 
「そんなの見てみないとわからないだろ!? そう言って没収されるのが嫌なんじゃないのか? 早くブルマを下ろせ!」
「ほ、本当に違くて……先生がきっと後悔すると思って言ってるんです」
「俺が後悔する? なにを言っているんだお前は……」

 ヒートアップする先生に見かねた優子ちゃんが後ろからフォローに入る。

「あの、先生! 水巻さんは今日、調子が悪いんです! 早く次を見てください!」
「調子が悪い? それと下着の確認に関係性があるか……?」

 短足先生は妻帯者だが感覚が童貞のそれに近い。そのため、察しが悪いようだ。
 すると周りにいた女子たちが、一斉に先生の顔を睨み始める。
 これ以上、俺に屈辱を与えないため、みんなで守ってくれているんだ。

 再度、優子ちゃんが強い口調で先生に注意する。

「とにかく今日の水巻さんは体調が悪いんです。ブルマを脱がすのはやめてください!」

 優子ちゃんの一言で短足先生はようやく理解できたようで、手の平をポンと叩いて見せる。

「あ……そうか、お前。あの日だったんだな! そうかそうか! なら良いだろう。というか、もっと早めに言えよな! はははっ!」
「……」
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