妖狐少女と御曹司~最強女子は御曹司くんのニセ彼女!?~
 私がとまどっていると、蒼木先輩は私の手をぎゅっと握りしめた。

 どきっ。

 心臓が大きくはねる。

「ほら。俺の彼女なんだろ?」

 蒼木先輩の大きくて綺麗な瞳が私をじっと見つめてくる。

「は……はい……そうでした……」

 頬がかあっと熱くなる。

 ひゃあ!

 手……つないじゃった……!

 なんだかくすぐったいような、恥ずかしいような、変な気持ち……。

 どうしよう。

 緊張して先輩の顔を見れないよっ……。

 私がカチンコチンに固まっていると、蒼木先輩がクスリと笑った。

「照れてるのか? 可愛いな」

「かっ……!」

 か、可愛い?

 私が……?

 顔だってスタイルだって普通だし、どちらかというと地味なのに、そんなことってあるのかな。

 私……からかわれてる?

 顔を上げると、アイドルみたいに整った顔がこちらを見つめてくる。

 うわ。綺麗な顔……。

 とくん、とくん。

 胸のどきどきが止まらない。

 やっぱりイケメンってすごいな。

 私たちはニセの恋人で、私はただのボディーガード。

 ドキドキなんてしちゃいけないのに……。

 
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