妖狐少女と御曹司~最強女子は御曹司くんのニセ彼女!?~
「分かった。良く分からないけど、朱里がそう言うなら」

 私と凪季は、二人で手をつないで走り出した。

 すると私たちの進路ふさぐように、一人のスーツを着た男に人が目の前に現れた。

「アオキ……ナギ……コロス……!」

 スーツの男性は手に持っていたビニール傘を振り上げると、凪季に襲いかかってくる。

「くっ……」

 凪季は軽い動作でその攻撃をかわした。

 ビニール傘がグサリと地面につき刺さる。

「凪季……知り合い?」

 私は恐る恐る凪季の顔を見た。

「いや、知らないやつだ」

 だよね……。

 私は男の人をじっと観察した。

「アオキ……ナギ……コロス……」

 男の人は、壊れたオルゴールみたいに同じ言葉を何度も繰り返している。

 カクカクとした不自然な動き。

 目はブキミに赤く光っている。

 もしかしてこの人……何かに操られているの?

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