見せかけロマンチック
そう思いながら下駄箱に着いて、靴を履く。
外に出ると、卒業生達がザワザワしていて、私もなずも足を止めた。
「ねえ!あれ、悠様と王子様じゃない!?」
「ちょっとまって、一年ぶりでもかっこいいー!!」
そんな声が聞こえて、注目の的になっている方を見ると。
玄関から少し離れた隅の方に、お母さんとお兄ちゃんと知世が立っていて。
なずと顔を見合せた。
「大注目じゃん……」
「それな……って、あ、麗」
「なに?」
「知世先輩見てるよ」
なずの言葉にパッと顔を向けると、知世とバッチリ目が合って。
その瞬間、知世は見せかけの王子様とは違う、素の飛びっきりの笑顔を見せた。
そしてすぐ、お母さんとお兄ちゃんを置いて私の方に向かってくる。
「麗…!!」
後ろにいるお母さんとお兄ちゃんが、知世の後ろ姿を笑いながら見つめている。
……ああ、もういいや。
今日で最後じゃん。もう、なにしてもいいよね。