さかなの眼
第三章 校外学習

湖畔のほとり

「河合君て野球部なんだ」
なんて言ってるが
真奈はお弁当の鶏南蛮の方が
興味がありそうだ。

「って言うか、のんちゃんが
美術部っていうのは意外!
家庭クラブとか入ってそう。
茶道とか花道とか!」
真奈はそう言いながら嫌いな人参を
のぞみの弁当にポンポン入れた。

「まだ人参食べれないのー?もー」
真奈はしかめっつらのかなの顔を見て
「へっへへーん」と戯けて
自分の好物の鶏南蛮を
ほっぺいっぱいに頬張ると
「美味しーい」とご機嫌だ。

小さい頃から真奈はコロコロと
表情が変わって天真爛漫だ。

「最初にどこ行くの?
お友達のところ?」
真奈はすっかりなくなったお弁当に蓋をして
満足そうだ。

「今日は琵琶湖を見に行く」
「何かお店あるかな〜」
真奈はもう観光誌を眺めて楽しんでいる。

そう言えば、あの時繋いだ手の感覚が
今も鮮明に覚えていたなと
のぞみはあの頃より歳を取った手のひらを
ぼんやりと眺めていた。

新幹線はもうすぐのぞみの目的地へと着く
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