七宝 ‐なほ‐
れーなーとせーらー
5月のある日、七宝(なほ)は、教室の窓を開けると歌い出した。

歌い終わると、教室中から拍手が聞こえた。
つい、大きな声で歌ってしまったらしい。

「やだぁ、忘れて」

顔を真っ赤にして言うと、

「それは無理さぁ」

声が聞こえた。
幼なじみの龍一(りゅういち)だ。
隣には親友の涼香(りょうか)までいる。

「なーほーは歌うの上手いからね。
忘れるなんて出来ないさぁ」

うんうん、と涼香も頷く。

「そこをなんとか!」

「無理さぁ」

「りゅーうのわからず屋!」

「褒めてるのにそれはひどいさぁ」

龍一と七宝が言い合いを始めたが、それはいつもの事。

「なーほー、今日、会議さぁ」

慣れた様子で、涼香が七宝と龍一を引き離す。

「やば、れーなーねーねーに怒られる!」

七宝は慌てて生徒会室に向かった。
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