風のささやきが聴こえたら
第10話 マリへ~届くはずのない手紙~

 僕と君は住む世界は違うけれど、確かに存在していて、ブレスレットでお互いの様子を確認出来たり、意思を伝えることも出来る。君と過ごした時間は短かったけれど、僕にとっては永遠だ。僕は現実世界の観察員の仕事を外され、ロボットの技術開発チームに加わることになった。今開発中なのは、ロボットペットだ。試作品のロボットペットの猫に、「マリ」と名付けて寂しさを紛らわしているよ。

 マリ、現実世界ではどんどん年老いていって、やがては死に至るんだろう?そして、輪廻|《りんね》を繰り返すんだろうか?そうならば、僕は君の生まれ変わりを見付けることは出来るだろうか?いや、きっと見付け出してみせるよ。

 マリ、僕が側にいなくて寂しくなったら、目を閉じて風を感じてほしい。風のささやきが聴こえたら、僕が君の名を呼んでいるのだと思ってほしい。旋風が巻き起こったら、僕が君を抱き締めているのだと思ってほしい。僕は、君のことを愛してるよ。永遠に。いつか、君がこの世界に転生てんせいしてきてくれたら、その時は一緒になろう。それまで、僕は待ち続けるよ。

 マリ、ありがとう。そして、ごめんな。いろいろ巻き込んでしまって。マリにとって、僕の記憶が残っているのはつらいことなのかもしれない。ブレスレットが外れてしまえば、僕たちを繋ぐものも失くなり、お互いに自由になれるのかもしれない。それでも、僕は君のことを忘れたくはない。決して忘れないよ。

 届くはずのない手紙なんか書いて、僕はどうかしてるな…。でも、もし会えたら伝えたいことが山ほどある。そして、また君を抱き締めたい。君の温もりを感じたい。会いたいよ、マリ。一滴|《ひとしずく》の涙が頬を伝う。目を閉じて、ただ、君を思い出すよ。



マリへ 


ルークスより、愛を込めて

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