求婚は突然に… 孤独なピアニストの執着愛
それから淡々とレジをこなし、朝番のスタッフが時間通りに来てくれたので交代して、そそくさ事務所に戻る。
「すいません。お待たせしてしまって…。」
そう言って、待たせてしまった彼に詫びると、
「丁度15分だ。凄いね。」
と、感心したように彼が言う。
「えっ…?」
一瞬何の事か分からずに聞き返してしまうと、
「君が、15分くらいで戻りますって言うから、本当に15分だった。」
そう言ってフッと笑う。
「あっ…そうなんですね。気付いてなかったです。」
さすがに私も愛想笑いして、待たせてしまった分急ごうと、PCが置かれた机の引き出しから、ガチャッと鍵を開けて預かっていたお釣りを取り出す。
「あの、確認して頂きたいのですが…。」
と、レシートを差し出す。
お金の中身を一緒に確認して、
「間違えなく。」
と、同意され引き取りの手続きに入る。
この場合、お釣りは忘れ物として取り扱うので、忘れ物を渡す時のように引取り人の証明書を買いてもらう。
本来の忘れ物なら1週間程度で最寄りの警察に渡すのだけど、現金という事で1ヶ月預かっていた。
「あの…すいませんが、こちらにご記入をお願いします。」
確かに受け渡したという書面に住所氏名電話番号を記入してもらう。
小さなテーブルに書類とボールペンを置くと、彼は色付きメガネを外して、綺麗な長い指でボールペンを握り署名を書き始める。
左利きなんだ…それにしても綺麗な指…。
何となく見つめていると、今の現状にハッと気付く。
知らない男性と狭い空間で2人きり…。
そう思い始めると、私の心臓はドクドクと嫌な音を立て始める。
知らずに荒くなる息を隠そうとすれば、冷や汗のような脂汗が吹き出してくる。
大丈夫…落ち着いて…この人は怖くない…心で何度も唱えて、自分をなんとか落ち着かせようと試みる。
「大丈夫ですか?…体調悪い?」
異変に気付いた彼が心配そうに私を見てくる。目が合ってドクンと勝手に心臓が躍る。クラクラと目眩がしてその場にしゃがみ込みそうになる。
「大丈夫⁉︎」
彼は慌てて私を支えようと立ち上がってくれるが…
「大丈夫です!ごめんなさい…ちょっと立ち眩みが…。」
彼に触れられないように、自ら近くのデスクチェアに座って深呼吸をする。
「…貧血ですか?しばらく動かない方がいい。」
彼は手早く署名をして、
「誰か連れて来ましょうか?」
と、立ち上がる。
「だ、大丈夫です!…よくある事なので。ありがとうございます。あの…書類を…」
仕事をしなくてはと頭が働き、なんとか書類に認印を打つ。
「こちら、控えになりますので…お持ち帰り下さい。」
と、控えにも認印を押して彼に渡す。
「…葉月…。」
彼が書類の認印を見て、そう小さく呟く声を聞き取る事が出来ず、私はどんどん話しを進めてしまう。
「何か…ありましたら、そちらに記載されてます電話番号にご連絡下さい。お時間をお取りしまして、申し訳ありませんでした。ありがとうございました。」
立ち上がってペコリとお辞儀をするけれど、クラクラと景色が回って倒れそうになる…。
鼓動がバクバク早くなり、少し過呼吸気味で息もしにくい状態になってくる。
「座って…ちょっと深呼吸しよう。」
焦り気味のお客様に、介抱されてしまう始末だ。
「あの…大丈夫なので…。」
私ははぁはぁと息をしながら、この人に迷惑かけてはいけないと焦る。
「すいません。お待たせしてしまって…。」
そう言って、待たせてしまった彼に詫びると、
「丁度15分だ。凄いね。」
と、感心したように彼が言う。
「えっ…?」
一瞬何の事か分からずに聞き返してしまうと、
「君が、15分くらいで戻りますって言うから、本当に15分だった。」
そう言ってフッと笑う。
「あっ…そうなんですね。気付いてなかったです。」
さすがに私も愛想笑いして、待たせてしまった分急ごうと、PCが置かれた机の引き出しから、ガチャッと鍵を開けて預かっていたお釣りを取り出す。
「あの、確認して頂きたいのですが…。」
と、レシートを差し出す。
お金の中身を一緒に確認して、
「間違えなく。」
と、同意され引き取りの手続きに入る。
この場合、お釣りは忘れ物として取り扱うので、忘れ物を渡す時のように引取り人の証明書を買いてもらう。
本来の忘れ物なら1週間程度で最寄りの警察に渡すのだけど、現金という事で1ヶ月預かっていた。
「あの…すいませんが、こちらにご記入をお願いします。」
確かに受け渡したという書面に住所氏名電話番号を記入してもらう。
小さなテーブルに書類とボールペンを置くと、彼は色付きメガネを外して、綺麗な長い指でボールペンを握り署名を書き始める。
左利きなんだ…それにしても綺麗な指…。
何となく見つめていると、今の現状にハッと気付く。
知らない男性と狭い空間で2人きり…。
そう思い始めると、私の心臓はドクドクと嫌な音を立て始める。
知らずに荒くなる息を隠そうとすれば、冷や汗のような脂汗が吹き出してくる。
大丈夫…落ち着いて…この人は怖くない…心で何度も唱えて、自分をなんとか落ち着かせようと試みる。
「大丈夫ですか?…体調悪い?」
異変に気付いた彼が心配そうに私を見てくる。目が合ってドクンと勝手に心臓が躍る。クラクラと目眩がしてその場にしゃがみ込みそうになる。
「大丈夫⁉︎」
彼は慌てて私を支えようと立ち上がってくれるが…
「大丈夫です!ごめんなさい…ちょっと立ち眩みが…。」
彼に触れられないように、自ら近くのデスクチェアに座って深呼吸をする。
「…貧血ですか?しばらく動かない方がいい。」
彼は手早く署名をして、
「誰か連れて来ましょうか?」
と、立ち上がる。
「だ、大丈夫です!…よくある事なので。ありがとうございます。あの…書類を…」
仕事をしなくてはと頭が働き、なんとか書類に認印を打つ。
「こちら、控えになりますので…お持ち帰り下さい。」
と、控えにも認印を押して彼に渡す。
「…葉月…。」
彼が書類の認印を見て、そう小さく呟く声を聞き取る事が出来ず、私はどんどん話しを進めてしまう。
「何か…ありましたら、そちらに記載されてます電話番号にご連絡下さい。お時間をお取りしまして、申し訳ありませんでした。ありがとうございました。」
立ち上がってペコリとお辞儀をするけれど、クラクラと景色が回って倒れそうになる…。
鼓動がバクバク早くなり、少し過呼吸気味で息もしにくい状態になってくる。
「座って…ちょっと深呼吸しよう。」
焦り気味のお客様に、介抱されてしまう始末だ。
「あの…大丈夫なので…。」
私ははぁはぁと息をしながら、この人に迷惑かけてはいけないと焦る。