あの夏、君と最初で最後の恋をした

⑩

颯太の存在を確認するように、
泣きじゃくりながら、
ただただ、縋り付くように颯太を抱きしめた。

颯太は優しく私の背中を撫でてくれる。

……ああ、颯太だ。

この暖かさも、
優しくて大きな手のひらも、
全部颯太だ。


颯太の存在を自分に刻み込むように強く抱きしめ、
ひとしきり泣いた後、
ゆっくりと顔を上げる。

目に映るのは、
優しく笑う颯太の顔。

そんな颯太の顔を見た瞬間、
また涙が溢れてくる。


「ほら、泣かないで」

そう言ってやっぱり優しく涙を拭ってくれる颯太。

私の知っている、
ずっとずっと、私の隣にいてくれた、
大好きな颯太。


夢でもいい。
颯太がいてくれるなら、
私は一生夢を見続ける。

そんな私の思いが分かってるのか、
颯太が優しく口を開く。

「夢じゃないよ」

「…·夢じゃ、ないの?」

「そう、
ほら、ちゃんと暖かいでしょ?」

そう言って私の手をとる颯太。

「……うん、あったかい」

颯太の体温が嬉しい。

「やり残した事があるんだ」

「え……?」

颯太の言葉に私はただ颯太を見るしか出来ない。

そんな私を颯太は真っ直ぐに見て、言った。


「やり残した事、全部やりにきたんだ」



颯太と私の最初で最後の、
一生分の恋が、
はじまる__。







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