あの夏、君と最初で最後の恋をした

⑥

学校に着いて靴を上履きに履き替え教室へとゆっくり歩く。

明日から夏休みというのもあってか、
まわりは何だかみんな嬉しそうだ。

空気がいつもと違う。

色で例えるなら明るい原色で包まれているかのよう。

……颯太がいる時は、
私の世界も明るかった。

颯太が隣にいてくれて、
笑ってくれるだけで、

私はいつも明るくて優しい色に満たされていた。

だけどあの日から、
私の世界は真っ暗だ。

……今でも覚えてる。

忘れられない。

病院の白い壁も、
薬品の匂いも、
バタバタと急ぎ足の看護師さんも、

泣いてる颯太の両親も、
パパもママも、


寝ている様に穏やかな顔をした、
颯太も。


頭にこびりついて、
離れない。


あの日から、
私の世界は色を失った。



教室に入って席についていつものように窓から外を眺める。
クラスメイトは遠巻きに私を見ているけれど、
その視線は同情の色を含んでいるのが分かる。

そんな視線にも慣れた。
ひとりで外を眺めるのも慣れた。

だけど、
だけどね、颯太。

颯太がいない、
颯太が隣にいない、
そんな毎日は、

慣れないの。

< 7 / 48 >

この作品をシェア

pagetop