モノノケモノ
秀がニコニコと話そうとしているが、秀の向こう側にいるカナ爺は渋い顔をしている。

狸の表情を理解することが出来るなんて、私も進歩したものだ。


「僕がー、」


階段に近づく。

何か見えた。

今何か、不吉なものが見えた。


「秀、ちょっと待って……」


私の制止は間に合わなかった。


「全員倒しちゃったー」


ああ、やっぱり。

だって、階段には、猫族の人たちが山ほど倒れていたのだ。

ざっと20人ほどか。

動いている人もいるし、動いていない人もいる。

それに、うぅ、とかうめいているし、腕が。

腕が、ありえない場所でありえない方向に曲がっていた。

それを確認した瞬間、私は気を失った。
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