モノノケモノ
「カナ爺!?」

私が思わず走り出そうとすると、月浦さんが私を引き留めた。

ニヤリと笑いながら言う。


「無駄です。

私の部下達が鬼の子の方に行っていますから。

貴方に頼んでもどうせ渡してくれないでしょうからね」


「なかなか非道なマネするんですね」


私は月浦さんをにらみつけた。

奥からはまだ争う音と声が聞こえてくる。


「ヒトの癖にモノノケの問題に首を突っ込むんじゃありませんよ」


「なんのことですか」


役には立たなそうだがとぼけてみる。

この人をなんとかすれば裏の人達も撤収してくれるんだろうか。


「私は友人から子供を託されただけです」


月浦さんの頬がぴくりと動いた。


「鈴香と約束をしたのですか」


カナ爺と同じことを言う。

ということは、この件に関しても彼等と私達の約束は有効だということだ。
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