この恋、遊びにつき。
「高校の時に家庭教師をしてくれた人で。」

「うん」

「その時彼は大学生だったから、歳も近いし、家庭教師の日以外にも遊んでもらってました」

「そうなんだ」

「ただ、それだけの人です」




自分で言った『ただ、それだけ』という言葉を反芻する。


そう、ほんとにたったそれだけ。

彼女でも友達でもなかったわけだし。





「それだけじゃ、ないでしょ?」

「え?」

「それだけの付き合いだった訳じゃないでしょ?」

「ほんとにそれだけですよ」





「名前をつけられる関係ばかりじゃないと思うんだ、俺は」






きょとん、とするあたしに悠さんが続ける。





「彼女でも友達でもない人っていると思う。その人との関係に名前はないけど、決してただの知り合いじゃない。そんな軽い言葉で片付けたくない人って、いるんじゃないかな」


「悠さんには…いるんですか?」


「どうかな」


ごまかすように笑う悠さん。
…ずるい。でも、こういうの嫌いじゃない。



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