この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
 鍵のかかる応接室で部長と向き合う。環には呼び出された理由に心当たりはない。

 彼は厳しい表情のままむっつりと押し黙っている。

「あの、なにかあったのでしょうか?」

 焦れてしまって自分から口火を切った。

 部長の手がスッとデスクの上を滑る。

(写真?)

「これがどういうことか、説明してもらいたい」

 彼の手が離れ、その写真に写るものを認識した環はヒュッと喉の奥で息をのんだ。

(なに……これ?)

 瀬田と自分のツーショットが何枚も並べられている。

 彼の手が環の肩に回っている近距離のショットから、ご丁寧にホテルのフロントが入る引きの構図で撮られているものまで。

 おそらくこれを見た人は、環と彼がそういう関係なのだと想像するだろう。

 部長もあきらかにそれを疑っている様子だ。

「月曜日、社に匿名の手紙が届いたんだ。君がどういう手法で成績をあげているかを訴える内容で、証拠としてこの写真が同封されていた」

「待ってください。誤解です」

 自分は枕営業など断じてしていない。しかし環の弁解は部長の冷たい声に遮られる。
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