恋人同盟〜モテる二人のこじらせ恋愛事情〜【書籍化】
108本の赤いバラ
出張から帰った翌日、めぐと弦はたくさんのお土産を抱えて出社する。

「課長、戻りました」
「おお、ご苦労様。どうだった?フェアリーランドは」
「はい。うちのパークとはまた違った魅力があって、とても新鮮でした。アイデアも浮かびましたので、レポートにまとめて提出します。いずれ企画課にご提案出来ればと思っています」
「そうか、楽しみにしている」
「それからこちらが先方にいただいた友好の証の楯です。マスコミのフォトセッションの画像も、のちほど送っていただけるそうです」
「分かった。こちらでも大々的に記事にしよう。早速取りかかってくれ」
「かしこまりました」

課長への報告を済ませると、皆にお菓子を配って回る。

「ね、雪村さん。どうでしたか?お二人での旅行は」
「環奈ちゃん、旅行じゃなくて出張ね。フェアリーランド、すごく素敵なところだったよ。環奈ちゃんが好きそうな雰囲気で……」
「そういうのはいいんです!」

話を遮る環奈に、めぐは首をひねった。

「じゃあ、どういうのがいいの?」
「ですから、二人の時間ですよ」
「二人の、時間……」

めぐはポツリと呟くと顔を上げる。

「環奈ちゃん、今日ランチ一緒に食べない?」
「もっちろんでーす!」

わくわくする環奈と真剣な表情のめぐを、隣から弦が顔をしかめてうかがっていた。
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