鉄仮面の自衛官ドクターは男嫌いの契約妻にだけ激甘になる【自衛官シリーズ】
恋よりも大切なこと
 しばらく忙しくなると言っていた通り、それから悠生さんは不規則な生活を送るようになった。

 夜に帰宅せず、明け方に帰るようになる日が増え、必然的に顔を合わせる日も減った。

 それでもわずかな時間を見つけ、私と会話をしようとする。

 トラウマ克服に向けての練習は必要ないかと尋ね、そうでなくても今日なにがあったか、また一緒に出かけられるといい、と他愛ない話をしてくれる。どんなに忙しくても私を気遣う姿に、改めて愛おしい気持ちが芽生えた。

 身体を壊さなければいいがと心配し、自分にできることを考えてキッチンに立った。

 医療の現場で彼を支えられないなら、私なりのやり方で支えたい。

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