鉄仮面の自衛官ドクターは男嫌いの契約妻にだけ激甘になる【自衛官シリーズ】

 迷いなく冷静に指示を出すと、医官の表情が少しやわらいだ。

 既に彼は限界が近い。自分の処置が果たして本当に正しいのか、それさえまともに考えられなくなるほど頭が回らなくなりつつあるのかもしれない。

 少し休めと声をかけてやりたいところだが、今は猫の手も借りたい状態だ。気遣っている余裕はない。

 医官が足早に立ち去るのを見届ける前に、次の患者のもとへ向かう。

 そこには雑に巻かれた包帯を真っ赤に染めた男がうずくまって震えていた。俺が近づくのを察して上げたその顔は、不安と恐怖が満ちている。

【大丈夫か?】

 英語で話しかけると、男は微かなうなずきとともにぼそぼそと答える。

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