鉄仮面の自衛官ドクターは男嫌いの契約妻にだけ激甘になる【自衛官シリーズ】
帰りたい場所
私がフィリピンでのボランティア活動を終えて日本に戻ったのは、ひと月が経ってからだった。
あの災害の現場は本当に過酷で、身体も精神も限界に近かった。それでも頑張れたのは多くの命を救いたいという気持ちと、悠生さんの存在があったからだろう。
飛行機を降り、久し振りに日本の空気を吸うと自分でも驚くほどほっとした。心のどこかで「ようやく終わった」と感じているからかもしれない。
無性に悠生さんに会いたかった。結局、彼と多少なりとも言葉を交わせたのは初日だけで、あとはお互いにそれどころではなかった。
それに、自衛隊は私たちボランティアスタッフよりずっと早くに帰国した。