鉄仮面の自衛官ドクターは男嫌いの契約妻にだけ激甘になる【自衛官シリーズ】
 彼女が私を冷ややかな目で射貫く。

「私たちはどんなことがあっても、患者から逃げません。ですがあなたは、背を向けて逃げたんでしょう?」

 胸が締め付けられるような感覚に襲われる。私の存在を否定するために発せられた言葉は、四年前から感じ続けていた無力感を掻き立てた。

 そう、私は逃げたのだ。また恐ろしいことがあったらどうしようと、まだ見ぬ誰かを救う気持ちよりも、自分の不安がやわらぐ道を選んでしまった。

 心の奥底にくすぶっていたものを引きずり出され、なにも言えなくなる。彼の妻として来ているのだから、それでも自分は大丈夫だと伝えなければならないのに。

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