鉄仮面の自衛官ドクターは男嫌いの契約妻にだけ激甘になる【自衛官シリーズ】
「君は女性が倒れているのを見て、ちゃんと対処にあたっただろう。現場から逃げた人間がそんな真似をするはずがない」

 胸がいっぱいになって唇を噛む。断言できるほど、私の行為の端々から過去の現場に帰りたい気持ちが滲んでいたのだろうか。

「それでも結果だけ見たら、逃げたのと変わりませんから……」

「君が自分をどう思うかはこの際いい。だが、俺はそう考えていないことを覚えておいてくれ」

 うなずいて、悠生さんの言葉をゆっくり呑み込む。

「……そこまで言ってくれる悠生さんにさえ、まともに触れないのが悔しいです」

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