世界はそれを愛と呼ぶ
─楽しかった。幸せだった。
永遠に続いて欲しい、時間だった。
「全部終わったら、やっと、逢えるわね」
「……そうだな」
「一緒に地獄に行ってから、天国に会いに行こうね」
「……」
私達のせいで、多くの人が傷ついた。
多くの人が、死んでしまったわ。
私達で終わらせることが出来ていれば。
余計なことを望まなければ。
あの日、彼女をライの妻にしなければ。
あの日、私だけでも爆弾を持って、全てを消し飛ばすだけの覚悟があれば。
─たられば、を、繰り返す度、もう二度と帰らない人を思い出す。
『私がここに来た理由?んー、沢山あるんだけど、とりあえず、お母さんが大切にしていた物を取りに来た?確認しに来た?って感じかな。ライと出逢えて、お母さんの最愛の親友の息子は確認できたから……』
あの子が命を賭けて、この国へきた理由も、全部、消えてなくなってしまった。
彼女の遺体は見つからず、
『─多喜子っ、見つけた!!!』
貴女が死んで、十数年後、見つけた愛し子はボロボロで。
愛されるために、産まれてきたのに。
彼女の元でたくさん、愛されて大きくなるはずだったのに。
今はもう、多喜子達の手元には何も残っていない。
彼女が遺した、最愛の愛し子達も。
彼女が守りたかった、何もかもも。
彼らと、修羅を共に歩んでいく覚悟だった。
そのためなら、何もかも捨てる覚悟だった。
その時、その瞬間、いちばん大切と思うことを優先してきたはずだった。その結末が、これだ。
全てを失った。二度と取り返せない、命がある。
だからもう、多喜子には選べなかった。
全てを終わらせて、この生を終わらせる。
─それ以外の選択肢を、選ぶことが怖いのだ。