世界はそれを愛と呼ぶ

第10節 誤算

☪︎



「─ああああああああ!!!!!!」


ガシャーーーーン!

─大きな音が響き渡る。
テレビの画面にはヒビが入り、電話は床に転がって、
ガラスのコップは粉々に、1人の女は頭を掻き毟る。

『─お嬢様!?どうなさいました!』

「うるさいっ、あっちへ行って!!!!」

ヒステリックに叫び、女は腹を立てたメールの届いたパソコンも、床に叩き付けた。
画面が疎らに点滅し、すぐに動かなくなる。

「またっ、あの女っ!!どれだけ邪魔したら気が済むのよ!私のもの、全部全部全部奪っていくなんて!!」

大祖母様は言った。

『あの女のせいで、わたくしは不幸にならざるを得なかったの。あの女さえいなければっ』

大祖母様は、大祖父様に愛されなかった。
大祖父様はいつも、写真の向こう、ひとりを見ていた。

大祖母様が何をしても視界にすら映さず、まるで居ない存在として扱った。
その上、早くに亡くなり、大祖母様を未亡人にした。

お祖父様も大祖母様を避けていたにも関わらず、大祖母様が連れてきた女性に入れ込んだ。
その女性とお祖父様の身分差から、大祖母様が引き離そうとするも抵抗され、大祖母様は左腕を怪我し、麻痺状態になってしまった。

大祖母様がそんな状態になっても見舞いにすら来ず、退院した大祖母様の前に現れたのは、知らない女。
金髪の、青い瞳。
どこか、大祖母様の神経を逆撫でするような微笑みは、外から入ってきた血。
由緒正しき大祖父様の血を汚す存在……そして産まれてきたのは、大祖母様から大祖父様を奪った女によく似た娘と、外から入ってきた血を濃く継ぐ娘。

憎らしく、消そうとした。
男でもなければ、汚い血が入っていると。
しかし、消せなかった。


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