空に還る。
「なんでそげん嫌と?」

「海ってフェリーのやろ?」

「当たり前やん」

同級生の住むどの町に行っても、
海岸は義務みたいに存在している。

海水浴場なんかじゃない、
″ただの海岸″とか船着場。
泳ごうが花火をしようが、バーベキューをしようが自由だけれど、
海の家も無ければシャワールームも無い。
砂浜だって別に整備されていないんだから、ロマンチックの欠片(かけら)だって無い。

潮風と、たまに足の裏に攻撃してくる石ころ、暑すぎる砂浜、手で簡単に折れてしまう枯れた木の枝に、
たまに頑張ればときめけそうな、うすピンクの貝殻が落ちているだけ。

そんなところに行きたがるのは小学生くらいまでだ。

中高生、大学生とかおしゃれな大人はお金を払ってフェリーに乗って、
砂浜がきちんと整備されていて、
海の上もシャワールームも貸し出しのイルカのボートもあるきれいな白浜に行く。

それがステータスらしい。
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