すべての愛を君だけに。
歩ちゃんの声に背伸びする。
2時間くらい勉強してたなー…。
外はすっかり真っ暗になっていた。
今日はこれから歩ちゃんと焼肉ディナーに行く。
楽しみすぎて心が踊る。
わたしは持ってきたカーディガンを、歩ちゃんはブラウンの上着を羽織って玄関へ向かう。
「あ!ちょっと待ってて!」
歩ちゃんにそう言ってダイニングへ戻る。
テーブルの上にさっきまで使っていた教科書やノートが閉じて置かれている。
その上に置いたペンを手に取る。
歩ちゃんのペン…誘拐しちゃお。
わたしはそのペンを持って玄関へと向かう。
「ね、このペン貰ってもいい?」
「別にいいけど…ペン持ってないのか?」
「持ってるけど、これがいいの」