すべての愛を君だけに。

歩ちゃんの声に背伸びする。


2時間くらい勉強してたなー…。


外はすっかり真っ暗になっていた。


今日はこれから歩ちゃんと焼肉ディナーに行く。


楽しみすぎて心が踊る。


わたしは持ってきたカーディガンを、歩ちゃんはブラウンの上着を羽織って玄関へ向かう。






「あ!ちょっと待ってて!」






歩ちゃんにそう言ってダイニングへ戻る。


テーブルの上にさっきまで使っていた教科書やノートが閉じて置かれている。


その上に置いたペンを手に取る。


歩ちゃんのペン…誘拐しちゃお。


わたしはそのペンを持って玄関へと向かう。






「ね、このペン貰ってもいい?」


「別にいいけど…ペン持ってないのか?」


「持ってるけど、これがいいの」


< 180 / 393 >

この作品をシェア

pagetop