すべての愛を君だけに。
あー…この会話聞きたくなかった。
今から家行くってことは歩ちゃんの家の鍵、持ってるってことだよね。
沙織先生…今日は歩ちゃんの家にお泊まりなのかな。
じゃああんまりわたしに、時間取らせちゃダメだよね。
早く食べて…沙織先生のところに帰るように言わなきゃ。
わたしのこと好き?って、何聞いてるんだろ。
バカみたい。
「じゃ、行くから」
「はーい!行ってらっしゃい」
助手席の窓を閉めて、発進する車。
サイドミラーから遠ざかる沙織先生をずっと見ていた。
どう頑張ってもわたしは沙織先生にはなれない。
…なりたい。
1日だけでいいから、沙織先生になって歩ちゃんとずっと一緒に居たい。