すべての愛を君だけに。
顔を上げて、歩ちゃんの顔を見ながら問いかける。
いつもよりも優しく微笑みかけながら何度もわたしの問いに答えてくれる。
「わたしっ、…あゆ、みちゃんの…姪だよ?」
「知ってる」
「結婚、できないよ…?」
「結婚することが全てじゃないだろ」
「でもっ…でも」
「もういいよ、俺は雨が好きなんだから」
何度でも聞きたくなるの。
そうじゃないとこのまま消えてしまいそうで怖い。
嬉しいのと、わたしのせいで苦しめてしまっている罪悪感と、漠然とした不安で涙が溢れてくる。
大きな両手がわたしの頬を包んで、流れる涙を親指で拭ってくれた。
この温もりが。
嘘じゃない、夢でもない、現実で目の前にいるのは歩ちゃんだって教えてくれる。