すべての愛を君だけに。
涙が滲んで景色が歪んできたから、歩ちゃんに背を向けて手の甲で涙を吹く。






『雨、歩くんに言っといてくれる?帰るから2人であいにいらっしゃいって』


「…やだよ、お父さんが電話してくれればいいじゃん」


『お父さんも歩くんも忙しいから電話しても出れなかったりするでしょ、学校で会った時でいいから!』






そんな事言いたくなかったけど、「うん」と小さくお母さんに返事をした。


その後もお母さんは何か言っていたけど何も頭に入ってこなかった。






『じゃあ、体に気をつけてね。歩くんにもよろしく伝えといて』


「…わかったよ」






スマホを耳から離して…歩ちゃんの方を振り返る前に深呼吸をする。



< 243 / 393 >

この作品をシェア

pagetop