すべての愛を君だけに。
理由、を言えば諦めてくれるだろうか。
雨への異常な感情を知って、離れていってくれるだろうか。
「…ごめん」
「謝ってばっかり…」
言えない。
俺が傷つくだけならいい、
何だってするし、なんだって受け入れる。
だけど、雨は…雨だけには傷ついて欲しくない。
俺は沙織に頭を下げる。
「ほんとごめん」
「わたし別れないから…歩がちゃんと理由を言うまで別れないから」
俺を貫くような強い眼差しに視線を逸らす。
ミネラルウォーターをテーブルに置いて、椅子にかけたコートに手を伸ばす。
リビングを出ようとドアノブを握ったところで、後ろから抱き締められた。