すべての愛を君だけに。
わたしが言うと電話の向こうで歩ちゃんが笑ってる声が聞こえた。
よかった…少し元気になったみたい。
「雨ー?もう時間よー!」
「はーい!今行くー!…じゃあ、歩ちゃんまた後で!」
『ん、会えるの楽しみしてる』
そう言って切れたスマホを少しの間、胸に抱締める。
長いようで短かった喧嘩はもうおしまい。
これで心置き無く歩ちゃんに会える。
今日を乗り越えれば…きっと壁を乗り越えられる。
歩ちゃんと2人なら大丈夫だよね。
わたしは立ち上がって、1階に降りるとお母さんとお父さんはもう玄関まで来ていた。