すべての愛を君だけに。

口から吐かれた煙は、風に吹かれてわたしとは反対側へ流れていく。


ただ煙草を吸っている姿さえ、絵になる。


写真撮りたい…待ち受けにしたい。


だけど絶対バレて消されるから焼き付けておこう。


消えないように。






「ちゃんと飯食ってるか?」


「…食べてる、定期的に聞くねその質問」


「兄貴に頼まれてるからなー」






歩ちゃんの兄…つまり、わたしのお父さんはお母さんと海外赴任で向こうに2年半前から住んでいる。


海外の生活になる時、1番に思い浮かんだのは歩ちゃんの事。



向こうに行けば、いつ帰って来れるか分からない
そう言われて絶対日本に残りたいって言った。


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