すべての愛を君だけに。

そんな人混みの中で…歩ちゃんを無意識に探している。


今日、日本を離れることを歩ちゃんが知ってるはずないからここに居るわけないって分かっているはずなのに。






「雨」


「なにー?」


「ごめんなさい」






突然お母さんがわたしに謝るからびっくりして、声のした方を向く。


優しく…悲しそうに微笑みながらわたしを見ていた。


なんで謝ってるの?
どうしてそんな顔してるの。






「歩くんと、あなたを離してしまって…ほんとにごめんなさい」


「おかあ、さん…?」


「ずっと謝りたかったの。…だからって2人のことをそのままにしておくことは出来ない。あなた達は叔父と姪だから…世間が許さないし、わたしとお父さんも許せない」






わたしから…行き交う人たちへお母さんは視線を移した。


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