すべての愛を君だけに。
少しずつ早歩きになり、気づいたら走ってお母さんの所へ向かっていた。
1度も振り返らなかった。
ほんとは、振り返って抱き着きたかった。
キス、して欲しかった。
でも…もう大丈夫。
わたしの中に全部残ってるから。
いっぱいいっぱい、歩ちゃんが残ってるから。
「…お母さん!」
「雨!?…心配したっ」
「ごめんなさい」
「…行きましょうか、お父さんも探してるわ」
「うんっ」
わたしはお母さんと一緒に保安検査場を通って急いで飛行機へと乗り込んだ。
無事お父さんとも会えて、飛行機は離陸。
小さくなっていく街並み。