すべての愛を君だけに。
辛いけど、これがわたしの現実で運命。
「おはよー、HR始めるぞー」
教室に笑顔で入ってきた歩ちゃんは教壇に立って、手に持っていたファイルを開く。
パラパラとめくる細くて骨ばった手から目が離せない。
些細な仕草にも見とれてしまう。
もっと近くで見たい
近づきたい
…パチッと歩ちゃんと目が合う。
目が離せないでいるわたしに不思議そうな顔の歩ちゃん。
「比嘉、早く席つけ」
名前を呼ばれるだけで嬉しい。
自分でもわかるくらい重症。
なーちゃんの席から自分の席へと移動して、椅子を引いて座る。
教室が静かになりみんなが座ったことを確認して歩ちゃんが話し出す。