わけありくんを護ります
封筒と依頼

強瀾 きょうらん








「──うっわ」


あの後私は彼と別れ、少し道に迷いながらも学校へと無事に着いた──

しかし、

外装はスプレーアートだらけで、本当に学校なのか信じがたい光景で。

骸骨やらハートがカラフルに書かれたイラストや落書きがたくさんあって、ここが自分の通う学校になるかと思うと気が滅入った。

「……なにが少し、よ」

転校前、父と祖父に言われたことを思い出す。

『少し荒れた学校みたいだけど、お前なら大丈夫だろう』

『これぐらいでビクビクするような孫娘じゃなかろう』


いや父たちよ……娘を買い被りすぎでは?

私の少し荒れた、っていうイメージの遥か上を行くようなとこじゃないの。

それに窓から何人も顔を覗かせるヤンキーくん。
女の子じゃん!!、と私に手を振りながら盛り上がってる様子だけど、


金髪やロン毛、アフロ……
どこの窓からも同じような奴ばかり。

これじゃあ、普通の子は入らないわ。

納得しながら私は両手で頬を叩き、深呼吸をした。


「……凛、気合いを入れるのよ。なめられちゃだめ」


名前の通り、凛としていないと──
< 19 / 208 >

この作品をシェア

pagetop