わけありくんを護ります
封筒と依頼
強瀾 きょうらん
*
*
「──うっわ」
あの後私は彼と別れ、少し道に迷いながらも学校へと無事に着いた──
しかし、
外装はスプレーアートだらけで、本当に学校なのか信じがたい光景で。
骸骨やらハートがカラフルに書かれたイラストや落書きがたくさんあって、ここが自分の通う学校になるかと思うと気が滅入った。
「……なにが少し、よ」
転校前、父と祖父に言われたことを思い出す。
『少し荒れた学校みたいだけど、お前なら大丈夫だろう』
『これぐらいでビクビクするような孫娘じゃなかろう』
いや父たちよ……娘を買い被りすぎでは?
私の少し荒れた、っていうイメージの遥か上を行くようなとこじゃないの。
それに窓から何人も顔を覗かせるヤンキーくん。
女の子じゃん!!、と私に手を振りながら盛り上がってる様子だけど、
金髪やロン毛、アフロ……
どこの窓からも同じような奴ばかり。
これじゃあ、普通の子は入らないわ。
納得しながら私は両手で頬を叩き、深呼吸をした。
「……凛、気合いを入れるのよ。なめられちゃだめ」
名前の通り、凛としていないと──