ヴァンパイアに狙われています!〜運命は危険な出会い〜
奥を見ると、お茶が入っているコップが3つ置いてある。


これを持って行けばいいのだろう。


私はコップをおぼんに乗せて、テーブルに運んでいった。


男の子の顔を見たくないので、少し下を向いてコップを眺めるふりをしながら運んだ。


「えっと…お茶です」


今更ながら、顔すら見せないことに怒ってるかもと不安になった。


そう思ったら「ますます顔を合わせられない」と、顔を見ないように椅子に座った。


椅子に座ると同時くらいに、私の頬に誰かの指が触れた。


驚く暇もなく、顎をくいっと持ち上げられて目の前の男の子と目が合ってしまう。


男の子はサラサラの黒髪にくっきりとした二重で、少し青のかかった瞳をもつ、驚くほど整った容姿をしていた。


私の目にパッと映った制服は夢色学園のもので、校章は…薔薇だった。


男の子は何かを悟ったように、悪魔のような笑みを浮かべた。


その瞬間、背中に電気が走ったようにゾクッとする。


「何で目を合わせないの?」


そう言われてハッとする。


「その…男の子が苦手でして…」


「そっか、ごめんね?」
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