ヴァンパイアに狙われています!〜運命は危険な出会い〜

話し合い

その後私は真白くんを誘うことにも成功して、ひとり心の中でガッツボーズをしていた。
ただのいい迷惑になってしまうかもしれないけど、私にできることならなんでもしたいから。
そして、いよいよ話し合う時間になった。
放課後だから、廊下も歩いてる人が少ない。
そのまま歩いていって私が体育館裏の中庭に行くと、そこにはもう華恋ちゃんと真白くんがいた。
声をかけようとしたけど、私はピタリと止まってしまったんだ。
「貴方は、どうしてここにいるの?貴方と契約していた神には、そんな能力はなかったはずよ」
私にはなにを話しているか、全くわからなかった。
でも、ただ大事なことを話しているのはわかった。
だから、黙ってみていようと思ったんだ。
「俺も最初はわからなかった。死んだはずの俺が、どうして別の世界で生きてるのか。でも、それを黄泉が説明してくれたんだ」
『黄泉』という言葉を聞いて、華恋ちゃんの顔が険しくなった。
人の名前…なのかな?
「どういうこと!?貴方は…自分を犠牲にしたと言うの!?」
「違う。犠牲になったのは——琉愛(るあ)だった」
あんな真白くん、初めてみた。
言いようのない深い悲しみの目をしている。
琉愛ちゃんっていったい誰なんだろう?
真白くんにとって大事な人なのかな。
「っ…!!琉愛…?レンカお姉様が…そんなことを…?」
琉愛?レンカお姉様?
それは同じ人なのかな…?
というか、華恋ちゃんってお姉さんがいたんだ。
「たしかにレンカお姉様は、真白を救いたいと言っていたわ。でも、どうして!……もしかしてあの時、黄泉様と第2の契約を…交わしたの?」
「ああ、そうだ」
華恋ちゃんは落胆した。
見たことないくらい暗く、重い表情。
私は居ても立っても居られなくなり、華恋ちゃんに駆け寄ろうたした。
「か、華恋ちゃ——」
「待って」
だけど、誰かに止められてしまった。
私はゆっくりと振り返った。
そうだ、私は彩鈴ちゃんも呼んでたんだった。
そこには真剣な顔をした彩鈴ちゃんが、私の手首をつかんだまま立っていた。
そしてゆっくりと手を離し、私の横に立って言った。
「もうちょっと様子を見ようよ」
その言葉に、私はなにも言えなかった。
そして、前を向いた。
「あいつは俺と華恋の幸せを願った。そのために、自分を犠牲にした。呪いをさらに呪いで強化させ、俺の魂をこの世に繋ぎ止めた。だから、ここに俺がいる」
ついに、華恋ちゃんは涙を出してしまった。
けれどその表情は相変わらず変わらない。
そのまましゃがみ込んでしまった。
手で自分の顔を覆い、その指の隙間から涙が落ちた。
「どうしてよ…!!そんなことする必要はなかったわ!!自分勝手で身勝手で、最低な私だけがいなくなればよかった!!」
どれほど辛い経験をしたんだろう。
こんなに弱くなった姿は初めて見る。
だからか、胸がとても痛い。
——その時、それは起こってしまった。
華恋ちゃんの背中に見えた黒い、闇のように黒い影が。
ゆらっと動き、それが大きくなり、華恋ちゃんを襲った。
「待っ…!!」
私が動くよりも先に、彩鈴ちゃんが動いていた。
「“我が力の源を全て解き放て。雨晴華恋の精神世界に入れたまえ”」
その言葉に反応してか、世界が割れた。
まるでガラスみたいだ。
その後私たちの世界は、暗闇に包まれた。
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