白狼王の贄姫のはずが黒狼王子の番となって愛されることになりました

気づかない気持ち

「レリウス様、その姿は一体……!?」

 ライラがレリウスの屋敷に住むようになって一か月が経った。ライラの目の前には、黒い大きな狼姿のレリウスがいる。狼人族の国の一角に出没した魔獣を追い払うため、レリウスは複数の部下を連れて現地で戦っていたのだが、倒す際に魔法を受けてしまい、人間の姿になれなくなってしまったのだ。

ーー医務官に聞いたところ、数日はこのままの姿らしい。数日たてば自然とまた人間の姿にもなれるそうだ

 黒いモフモフな狼姿のレリウスが、床に体を伏せながらふてくされたように言う。

(レリウス様には申し訳ないけど、黒い狼なモフモフ姿、かっこいいし可愛い!)

 どう考えても目をキラキラと輝かせて狼姿のレリウスを見ているライラに、レリウスもベリックも気が付かないわけがない。

「ライラ様、なんだか嬉しそうですね」
「えっ、そん、な、ことは、無いですよ!」
ーーそんなこと言って、口がにやけているぞ
「えっ」

 慌てて表情を真顔にするライラに、ベリックはプッと吹き出し、レリウスが呆れたようにため息をついた。

「すみません、狼姿のレリウス様もとても素敵なのでつい」

(モフモフ、触りたい!モフモフしたい!)

「ライラ様、レリウス様に触ってみますか」
「えっ、いいんですか!?」
ーーおい、ベリック!
「いいじゃないですか。ライラ様も、狼姿のレリウス様を見るのはこの屋敷に来た日以来でしょうし」

 にっこりと微笑むベリックに、ライラは頬を赤らめて大きく頷き、レリウスはハア、と大きくため息をついた。

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