離婚を前提にお付き合いしてください ~私を溺愛するハイスぺ夫は偽りの愛妻家でした~
 気持ちを切り替えるために外の空気を吸いに行こうと椅子から立ち上がる。そのタイミングで誰かが入室してきた。

「相馬さん」

 最近の悩みの種の一つになっている人物の登場に思わず顔をしかめてしまいそうになる。

 千博はすんでのところで表情を取り繕い、感情とは真逆の優しい声音で声をかける。

「何かな、宮下さん」
「この間の提案、考えていただけましたか?」

 まだ諦めていなかったのかと、呆れてため息をつきそうになる。

 彼女がその話を持ちかけてきたのは、今から一ヶ月以上前。美鈴への接し方に悩み始めていた頃のことだった。
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