はるけき きみに  ー 彼方より -
 思案ののち、石川の自宅に向かった。
 出迎えた母親に石川殿に見せてほしいと頼んだ。
『大和川の上流からながれてきたものです』
 という自筆の文を添えて。

 そして帰宅した石川がそれを読んだという次第だった。


 一連のそんな出来事を、石川は職場の上司には報告しなかった。
 あることを察していたからだ。

 発見された場所、それから上流は数軒の農家があるだけだった。
 ただ一軒の屋敷を除いては。

 それは、役所の長である御仁、あの鹿島が住まう屋敷だったのだ。


「かしま・・」

 聞いていた一同が息をのむ。
 有り得ない名前がでてきたからだ。

 聞きようによっては、誘拐犯が鹿島であるかのような流れだった。
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